粘菌の LINE スタンプを作ってみました。
鷹楠です。
「粘菌スタンプ」という LINE スタンプを作ってみました。一度、LINE スタンプを作ってみたかったのと、粘菌という生き物の魅力を広めたかったのが、つくった理由です。(…最近、LINE 関係ばっかりですが、けっして LINE の回し者ではありません。笑)
LINE はいまや、日本ではかなりの利用率を占めるコミュニケーションツールであり、LINE Bot しかり、何かを広めるために有用なプラットフォームだなあと思うわけです。…まあ、LINE スタンプの数はすでに膨大になっていて、その中で突出するのは難しいのも事実ですが。
さて、ここでは、粘菌スタンプの宣伝も兼ねて、私がどういうやり方で LINE スタンプを作ったのか、制作過程を紹介したいと思います。
まず、完成形はこんな感じ。40 個のスタンプです。
https://store.line.me/stickershop/product/1397048
ところで、みなさんは粘菌という生き物をご存知ですか?その字のごとく「粘る菌」…と説明できればよかったのですが、そうではありません。「粘る」は部分的にあってますが、これはライフサイクルの一期間のあいだだけです。それから、「菌」ではありません(!)。粘菌は、アメーバみたいに動き回る時期と、キノコみたいに動かなくなる時期をもつ、動物でも植物でも菌類でもない不思議な生き物です。南方熊楠がこの粘菌の研究者だったことは有名です。なお、現在では粘菌の一部(真正粘菌)のことを「変形菌」と呼びます。
粘菌の注目すべきところはたくさんあるのですが、そのひとつが、見た目の美しさです。画像検索すると、カラフルで綺麗な姿に驚くと思います(気持ち悪さも多少ありますが 笑)。
ひとまず、粘菌の話はここまでとして、制作過程を説明します。
まず、スケッチブックに、アイデアスケッチ。
粘菌はいろいろ種類があるので、その調査・選別から始めました。スケッチはこんな感じ。
上の画像では、どんなメッセージにすればよいか、案をいろいろ書いてみてます。
次に、実際に個々のスタンプをシャーペンで下書き。40 個は、意外と骨が折れます。
南方熊楠の名言。このスタンプの主題と言ってもいいでしょう。
そして、これらの画像をスキャン…したかったのですが、スキャナーを持ってないので、スマホで写真に撮って PC に送りました。
Windows フォトで、必要な範囲だけクロップして、こんな感じ。
次に、これらの画像を、線画に変換します。スキャンした画像をベースにして、ペイントソフトで本書き…してもいいんですが、めんどうだったので、エッジ検出で下書きをそのまま線画にすることにしました。写真加工.com というサイトのエッジ検出 http://www.photo-kako.com/edge.cgi を使いました。ブラウザ上で利用できるので Good です。
変換した結果は下記のような感じ。けっこう汚いですが…、それはこれからどうにかしていきます。
次に、色付けです。どうやって色を塗ろうか考えていたところ、ちょうど、興味深い記事をみつけました。
日本発のPaintsChainerはAIで線画を自動着色―ニューラルネットワークが驚異の能力 | TechCrunch Japan
この技術、本当にすごいです。
「これを使って、色塗りをさせてみよう!!
世界初の AI 自動着色の LINE スタンプや!!」
…と思いました。世界初かどうかは、わかりません。
実際に、先ほどの線画をインプットして、色を塗ってみたら次のような感じ(だいぶ色を指定して、補正はしました)。
どうですか、かなりいい感じじゃないですか。
こんな感じで、他の画像もすべて色を塗りました。
水彩画みたいで、優しいイメージです。私が思う粘菌のイメージにぴったりです。
続いて、GIMP を使って、必要なイラスト部分だけ切り取り、それ以外は透明化しました。このへんの詳しいやり方は、「GIMP 切り取り」や「GIMP 透明化」でググると出てくると思います。
必要な部分だけ切り取った結果はこんな感じ。
そして最後に、所定のサイズに合わせて、文字を入れて完成!…までを GIMP でやりたかったんですが、GIMP だとなかなか操作が煩わしい…とくに、文字を入れたりフォントを選んだりするところ。これを 40 個分やる気にはならず、…どうしたかというと、だいぶ普通じゃないと思いますが、LibreOffice の Impress(パワーポイントみたいなやつ)を使って、文字入れと PNG 出力を行いました。
フォントは「ぎゃーてーるみねっせんす」を使用させていただきました。
スタンプに使える画像は PNG 形式で、サイズは最大 幅 370 × 高さ 320 ピクセルです。
LibreOffice を使って PNG 形式に出力した画像は、こんな感じ。なお、文字はすべて回りを白で囲っています(背景が白なのでわからないかもしれませんが)。
LINE スタンプとして申請するには、40 個のスタンプ画像の他に、メイン画像(240×240 ピクセル)とトークルームタブ画像(96×74 ピクセル)が必要なので、これらも用意しました(…と言っても、作ったスタンプ画像からよさげなものをピックアップして、文字を消したりして、サイズを変えて出力しただけ)。
詳細は、ガイドラインを参照。
さて、LINE スタンプには、審査があります。
今回の粘菌スタンプの場合は、申請してから承認されるまで、1 週間ちょっとかかりました。幸運にも、リジェクトされずに一発 OK でした。
今回の反省点として…
- 完成したスタンプの文字が意外と小さい。シミュレータで確認してたつもりですが、もっと大きくしたほうがよかったです。
- なんか画質が悪い。PNG の画質の設定がよくなかったかもしれません。
- 使いどころがわからないスタンプがいくつかある。
…などなど
…ということで、粘菌スタンプの制作過程のご紹介でした。
気に入った方は、ご購入いただけると嬉しいです。
こちらからどうぞ:https://store.line.me/stickershop/product/1397048
または、スマホの LINE アプリから、スタンプで「粘菌スタンプ」と検索すれば出てくると思います。
ここで紹介したのはあくまで作り方の一例ですが、
LINE スタンプを作ってみたいという方は、参考にしてみてください。
では。